自分の本棚にあるたくさんの高藤氏の本に関するレビューがやっとすべて終わった。今、ふう、と言う心境である。高藤氏の本を最初にレビューした理由は、自分は、長年、気功・仙道修行者として練功してきて、いつも背後に高藤先生のエネルギーを感じながら過ごしてきた者として、この仙道の巨人・高藤聡一郎というものに対して、尊敬と敬意の念を持って、一区切りつけたかったからだ。高藤氏とは、本を通して、どこまで仙道というものを提示できて、仙道のどういうところを提示できなかったのだろうか?という長年の疑問が、自分の中にあった。
高藤氏の一番すごいところは、仙道各分野にわたって、その掘り下げ方がすごかったところだ。特にメインの小周天、大周天、出神などは、細かなところまで記述することに成功し、よく提示できたのだろうと思う。その点は、本質的な点として、心残りのようなものはなかったのではないか。また、練気功では、高藤氏の「昨日よりも、今日。今日よりも明日」という風に、伝統功法をその本質的効果を失わないように、日々改善して、より簡単にできる方法を日々模索してきたところがすごい。気や精を高めるには、こんな方法もある、あんな方法もある、と、常にブラッシュアップを忘れなかった点が非常にすばらしかった。これが仙道の現代化である。
仙道は、中国では、厳密には、仙道五術のことであり、その分野は、山・医・命・卜・相というのが厳密な分類だ。
山(さん)=武術、太極拳、気功などの体を使い、自然の「気」を入れ、山で修行するもの
医(い)=鍼灸、漢方、導引、霊治等の医術
命(めい)=四柱推命、天文、個人などの命理(宿命)を見るもの
卜(ぼく)=易、五行易、奇門遁甲、符咒などの運命を見て、改善するもの
相(そう)=手相、人相、家相、墓相、地相等の風水
しかし、高藤氏に心残りがあるとすれば、卜(ぼく)と相(そう)、すなわち、仙道魔術や風水などの分野ではないだろうか。これらは大変面白い分野であるけれども、広大な裾野を広げている。さすがの高藤氏も、本格的な風水師や符呪師にまではなれなかった。まだまだ書ききれなかったということを、高藤氏は、内心、忸怩たる思いで痛感しているのではないだろうか。風水の優秀な実践者・研究者は、英語圏にも多い。英語の書物も多い。もしも高藤氏が風水をさらに深く研究できていたなら、中国語圏にこだわらず、きっとワールドワイドな風水を研究し、より普遍性のある「現代版の風水」を提示できたのではないだろうか。仙道の現代化をはかることに成功した人物なので、この点が非常に名残り惜しい。こういうことを考えながら、高藤氏の話を終わりたいと思う。
さて、高藤本のレビューが終わったので、次からは、仙道分野におけるどうしても外せない仙道各書を読み解いていきたいと思う。