高藤氏が、たま出版から1984年に出した仙道に関する究極の著作である。
この本は、高藤氏の仙道研究をすべてまとめた最終到達地点、解脱した人間の境地から、仙道というものの究極の姿を浮き彫りにしている。気の修行によってヒトから超ヒトへとなった高藤氏が、まさに仙道を総括した書。まず初心者が読んでも内容が高度なため、理解できない。この本は、一言で言えば、道(タオ)に還る還虚合道した者とは、こういう境地なのか?ということが如実にわかる本である。
高藤氏いわく。仙道の出発点は、実は、生存するための究極のサバイバルにあったという。有史以来、人間は、社会において、どんなに苦悩、不運、理不尽さから逃れようとしても、それらが必ずやって来ること。これは、現代においても全く変わらない。これら究極の運命的なものから、いかに身を守るか?いかにサバイバルするか?というのが、仙道の原点だという。さまざまな因果律から、個人を開放し、自由にさせるのが、仙道の本意であり、目に見えない世界、霊界からの因果律からも自由になるためのものであると説いている。
高藤氏は、自身の仙道履歴を振り返り、仙道を深めながら、気の修行の各段階でぶつかるさまざまな疑問や不安を、中国の仙道古典に始まり、インド古代思想、チベット密教、アメリカインディアン、CGユング、西洋錬金術、カバラ、イスラム神秘主義・・・などなど世界のありとあらゆる神秘的な智慧を学びながら、その都度、応用して、突破してきた。これらはすべて、因果律からの自由を模索した方法である。
因果律からの自由―この全体の作用が、いわば、目に見えない世界タオの働きである、目に見える現実世界と目に見えない世界タオとの巧妙な関係があるということを、修行をして悟った人にしか書けない文章で説かれている。この本が、多くの仙道修行者にとって、宝物とされる由縁である。
遙かなる虚空への道(1984)